第56話 問いと答え

――そっか、アヤカシってのはたくさんの人のイメージで肉体がつくられて、そこに負力が入って初めて動きだすのか。

 まさに想いの力だ。

 プラス思考でもマイナス思考でも……あっ、それが“希力”と“負力”だったっけ。

 ……ということは項目三から考えると、昨日はバッハの絵に負力が入ったってことか。

 あの感じなら静的な負でできてる気がする。

 人体模型もヴェートベンも静的な負力っぽいな、モナリザは絶対、動的な負の要素入ってるよな~?!

 ガバ!! って襲ってくるとこなんて憎悪満載じゃん!!

 ――七不思議ってのは、大まかな括りで《うちの七不思議はこれです》ってのはあまり関係ない。という校長の言葉を考えると、世間の《学校の七不思議》にあるものなら、どれもがアヤカシになる可能性があるってことだ。

 学校の怪談パターンに鋳型は必要ない、そのため、もともと学校にある物たちに負力が入るってことか。

 あっ?! だから六角第一高校の四階にはアヤカシを引き寄せるための教室が存在するのか。

 下手すると三階や二階でも、負力さえ物に入ればアヤカシが生まれてしまう。

 校長の言ってた――そういう場所にはよどみが溜まる。そしてそれは気体のように上昇して停滞する。という点を考えれば、四階にアヤカシがでるのは当たり前だ、だからこその構造つくり

 だんだん理解してきたぞ。

 ――おっ、死者がもう反映されてる。さすがは解析部隊、というか当局!!

 ブラックアウトした死者は上級アヤカシか……ⅡとⅢが出現しなかったらどうなってたんだ?

 いや九久津と寄白さんなら、なにか奥の手を持っていたに違いない。

 けど排他的アヤカシって種類だから、ほかになにか特別な方法があったとか、かも?

 ――いまのとこ悪魔とは関わり合いはなさそうだ。

  ……ん? でも九久津の夢魔って悪魔じゃないのか?

  まさか危ない橋を、渡ってんじゃないだろうな……?

 ――ホワイトアップとブラックアウトって宇宙まで行くのかよ?!

 さすがに宇宙は関係ないか。

 まあ、俺もむかしから、ちょいちょいUFOは見るけど。

 この資料はすごいタメになった。

 ひとりでも、まあまあ理解できたし、俺って飲み込みが良い……いや違う、知らないけど知ってる。

 いや知ってた、なにかがデジャブ……?

 俺が資料を閉じるとタイミングよく九久津が声をかけてきた。

 「沙田、読み終わった?」

 「ああ、読破した」

 「チャットする?」

 「いや、だいたい理解できた」

 「えっ、アヤカシの起源を読んだんだろ?」

 九久津がずいぶんと驚いてる。

 そこまで驚くことか?

 「そうだよ」

 「あの内容を理解できたって?」

 「ああ。なんかどっかで聞いたことある内容が多かったから。きっと校長の普通の会話が記憶に残ってたんだと思う」

 「そ、そっか」

 (あまりに理解力がありすぎる……)

 「なあ、九久津、俺の転校初日に夢魔ってのを憑依させてたよな?」

 「ああ」

 あっ、これも聞かれたらヤバい……けど、質問はひとつだし、それに憑依とかって話を聞かれても、いまの時代だ、漫画とかの話くらいにしか思わないだろう。

 「あれって悪魔を召喚したのか?」

 「夢魔ってのは厳密には悪魔じゃないから。魔属性であるけど。サキュバスとインキュバスが完全な悪魔」

 九久津も簡単に答えた、俺と同じ考えなのかもしれない、悪魔が憑依するって、どう考えても現実離れしすぎだ。

 俺たちがゲームの話をしてるならなんの違和感もない。

 「あっ、そうなんだ。安心した」

 「あっ、ああ」

 (沙田。そんな心配そうに見るなよ……“家族”が“家族”を見るような……なんだ、この親近感は?)




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