第27話 鬱憤

俺は六角第三高校を訪ねてから数日間、寄白校長に会うことができなかった。

 水を打ったような静けさだ。

 俺に――六角第三高校に行って。と言ったきり、その姿を見せないのもおかしな話だ。

 寄白さんに話を聞くも――お姉様は会社に行ってらしてよ。としか言わない。

 あとはなにを訊ねても――知らなくてよ。の一点張り。

 そのまま教室をちょこちょこうろついては壁やロッカーをコンコンと叩いてる。

 ちなみにこの行動で四階の異変がわかるらしい。

 打診音のわずかな違い、空気の気圧の変化でアヤカシの出現時期等を予測するという。

 まるで名医の触診。

 職人芸だ。

 寄白校長は数ヶ月前に株式会社ヨリシロの社長になって以来、六角第一高校の仕事と掛け持ちしてる。

 他生徒から聞いた話じゃ、誰でも知ってる事実らしい。

 六角市で絶大な力を持っている寄白家のことを、正直、俺はあまり知らなかった。

 といっても株式会社ヨリシロが通じるのは大人の世界で、それ以外だと六角第一高校の生徒くらい、つまり子供にはあまり馴染みない会社だってことだ。

 俺は、今日も寄白さんと九久津に四階に呼ばれてる。

 またアヤカシか……気が重い。

――――――――――――

――――――

―――

 「九久津、本当にさだわらしは使えるのか?」

 「大丈夫だって夢魔がラプラス判定をだしたんだよ」

 「アイツみたいな奴がどうしてラプラスの悪魔に魅入られるんだ?」

 「さあ特別な秘密があるんじゃない? だって繰さんのご指名だもん」

 「まあ、お姉が言うなら間違いはないだろうけど……」

 「ただ俺の想像だと転生に関係があると思う」

 「ルーツ継承か……? 九久津、体は大丈夫か?」

 「ん? なんのこと?」

 「……魔属性の憑依は控えろよ?」

 「ああ、そのことね。大丈夫。俺は人一倍健康に気を使ってるし!!」

 「沙田が転入してきた日、自我・・を持ってかれそうになっただろ?」

 「まあ夢魔は低級アヤカシじゃないし、しかも、あのときは全身憑依だったし、ほかの生徒にバレないようにする必要もあったし。……でも大丈夫!!」




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください