第26話 あの日見た青空の”雨”

俺は背骨が引き抜かれたようにヨロヨロとふらつき、硬いコンクリートの屋上に尻もちをついた。

 とたんに体中の力がぬけて寝転んだ。

 制服ごしからでもひんやりとしたコンクリートの冷たさを感じた。

 すこし首を傾げるとすぐ横に、小さな水溜りがあった、水面に反射した俺の顔が映る。

 水鏡の自分と目が合って、そらすようにそのまま空をた。

 青天の空がある。

 久しぶりに見上げた空だ。

 雲ひとつない青空を見ると穏やかな気持ちになる、そのままゆっくりと瞼を閉じる。

 転校初日の朝を思いだす。

 ゾワっ、本当にそんな音がするかのようにゾクゾクっと背筋が寒くなった。

 コンクリートの冷たさをかき消すくらいに。

 いま初めて俯瞰うえから街を見た……ん……だ……。

 じゃあ、どうして俺はあの日、見えるはずのない雨を見たんだ?

 《あっ、南町のほうは雨だ……晴れと雨の境界線なんて初めて見た。》

 そんなふうに思った。

 あの場所から、あの一面の青空から、南町の雨が見えるわけなんてない、ましてや雲ひとつない空を見てどこかで雨が降ってるなんて想像もしにくい。

 六角第一高校で最初に螺旋階段を上ったときも、俺は《俺、自身がしてた表情》を見てる、左斜め四十五度のキメ角度の表情を。

 俺のなかで、なにかが変わろうとしてるのかもしれない。




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