第196話 秘めた想い

リッパってなんだ? ロロジストってなんだ?

 早く検索してー!!

 結局、ここでパフェを食べたのは寄白さんとエネミーだけだった。

 社さんに訊いたけど、――私は食べない。って一言。

 らしい、じつに社さんらしい、逆に社さんがパフェ食べるイメージがない、私はブラックコーヒーみたいなイメージしかない。

 リッパロロジストがなんなのか直接訊いてみてもいいが、それを訊いていいような質問なのかがわからない。

 ――うわっ?! なにこいつそんなことも知らないの?系の質問だったらハズいし。

 俺も、まあ、こんな状況でパフェなんて食べてられねーってことで頼まなかった。

 いや、ほんとは客の女子たちに見られたらハズいからだ。

 けど寄白さんとエネミーは満足したようで良かった。

 ここは相変わらず人でいっぱいだな、あっ、あれっ?!

 見慣れた顔が……二階にやってきたのは校長だった。

 店員はお盆を脇に抱えて、手の平を俺らがいるこっちに向けた。

 俺らのことを訊いて店員がそれを教えてるってことか、校長は俺らの顔を見つけて手を上げ合図してきたから、手を振り返す。

 そのまま歩いてくるのかと思ったら、手すりに手をかけ下をのぞき込むよう振り返った。

 その角度からでも誰かと話してるのがわかった。

 なんだ? あっ、まさか校長パフェ注文してるのか?

 校長だって年頃の女子だ、その可能性は多いにある、そうに違いない、あれっ?

 校長の背中越しに見慣れた顔がもうひとつ、え、えっ?

 な、なぜだ?

 俺は自分のスマホをタップする、暗転してた画面がパッと明るくなった、だがそこにはなんの変化もない。

 一応、俺への連絡手段になりそうな個所をチェックする、やっぱ着信履歴にもなにもない。

 だよな~俺が見落としたのかと思った。

 ずっとスマホに触れられない状況だと思ってたんだけど違うのか。

 「あー!!」

 エネミーが俺の疑問を上乗せしたようにそこそこ大きな声を上げた。

 そして一言――九久津アル!! と指さした。

 同時に店内の女子大半が九久津に釘付け!!

 イ、イケメン強ーな。

 辺りがざわざわしてる、てかエネミーと九久津はすでに顔見知りなのか?と思ってたら、社さんが急におどおどして体を左右にふってどっちを向こうか迷った挙句、結局その位置ですこし肩を落としてうつむいた。

 ん……??

 どういうこと? いったなにが? どんな関係?

 だって社さんが怪我するまで、九久津とはバディだったんだよな?

 さっぱり状況がわからない。

 校長と九久津は、俺らが座ってるテーブルへとやってきた。

 「九久津。毛先を遊ばせてるアルな?」

 「そう? 俺の毛先ってガチガチに働いてると思うけど」

 九久津意外とやるな、エネミーに対してその受け答えをするとは。

 社さんは前髪のあいだから九久津をチラ見してる、えっ?! うそ?!

 そ、そうなの? そうなのか? 昨日、病院に近づかなったのもそう言うことか、そうだったのか~俺はひとり納得した。

 九久津は社さんの気持ちにそれ気づいてない、イケメンはもてるの法則は正しいが鈍感だ。

 「キミが真野エネミー?」

 「そうアルよ」

 「話だけは聞いてるよ」

 「うちもアルよ」

 なんだ初対面か、ってことは例の儀式を行ったってことだけ耳にしたんだな。

 それもそうか、バシリスクの戦闘のあとにエネミーは生まれたんだから。

 当然、入院してた九久津はエネミーと対面する機会はなかったわけだし、どこかで誰かが引き合わせてなければの話だけど。

 九久津は俺と寄白さんと校長に――迷惑かけた。と一言謝った。

 俺たちは――気にするな。と返した、これで後腐れなしだ。

 そして九久津は社さんにも声をかける。

 「雛ちゃん。あれ・・から会うのは初めてだね」

 「えっと、うん。そう、だね。けど、ほらスマホでは」

 あ、あの、社さんがガチガチになってる。

 こ、これは少女漫画だな。

 九久津気づかないのか? というよりあれか? 幼馴染だから近すぎてなにも思わんってやつ。

 しょ、少女漫画すぎるだろ!!

 「元気だった?」

 「うん。九久津くんはもう治ったの? あの、バ」

 あっ?! 社さんらしくない、いまバシリスクの”バ”が口をついてでたんだ。

 慌てて口元を押さえてる。

 完全無欠っぽい社さんがスゲー身近に感じる、なんかふうつの女子高生っぽい。

 かっこ美人のというのをつけ加えておこう……美人つけたらふつうじゃねーか。

 「俺もうすこしだけど。今日は抜けだしてきた」

 「そ、そうなんだ。あ、あんまり無理しないでね」

 「うん。まあ、病院でずっと黙ってるわけにも行かないし」

 「だ、だよね」

 アニメ好きのエネミーは思わせぶりな表情を俺に見せた。

 いまニヤって笑ったな、ただそれはホンワカした笑顔だった。

 こ、こいつこの瞬間に社さんの想いに気づいたな。

 あなどりがたし鋭さよ、これはアニメが授けし洞察力か。

 エネミー恋愛系アニメもきっちり抑えてるな。

 そういや寄白さんと九久津もそんな間柄だったっけ? 幼馴染という意味でだけど。

 「沙田、返信できなかった理由はあとで話す」

 「あっ、ああ、わかった」

 やっぱメール届いてたのか?

 けど返せない理由があったってことだ。

 九久津の考えることにハズれはないって俺は思ってる、なにか意図があったんだろう。

 「店に入ったところで偶然、九久津くんに会ってさ~だから一緒にと思ってね」

 校長はどうして九久津と入店してきたのかの経緯を話した。

 一緒だったのは偶然か。

 まあ、同じ目的地に向かってきたんだから、そんなこともあるよな。




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