第16話 兆候

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 繰たちが一階校舎へ降りていくのを見届けた九久津と寄白。

 九久津は参謀の寄白の傍へとよった。

 「美子ちゃん。お疲れ」

 「……九久津。さだわらし使えないわ?」

 寄白は制服の埃や塵をパンパンと払ってスカートのひだをばさばさとひるがえした。

 細かい粒子が空気中に飛散する。

 白いリボンを解き、新体操のように二、三度、宙でふり、ふたたびポニーテールをきつく結びなおした。

 「いや、微かに兆候はあったよ。螺旋階段を登っている最中はとくに強くでてたよ」

 「本当? きちんと覚醒するんでしょうね?」

 「たぶんもう少しだと思う。照明を消したこの亜空間で色や物を認識してたのが証拠だよ。一般人にはまず無理だと思う」

 「弁当に塩を盛るなんて卑怯な手段で、さだわらしをここに呼んだんだぞ?」

 「大丈夫だって?! ヴェートーベンのときも出現しそうだったから」

 「今日は低級アヤカシだったからいいけど、もっと上級のが出現したらどうすんだ?」

 「美子ちゃん大丈夫、大丈夫!! 心配しないで!!」

 「お姉は、さだわらしに、アイツ自身の力を伝えようとしていた」

 「それは能力が使えるなら使えるにこしたことはないからね?」

 「逆効果だったらどうする。覚醒する前にこの現状から逃げだすかもしれない? これからもっと大変な目に遭うんだぞ?!」

 「それは繰さんの判断だから。それよりもアヤカシの様子がおかしいことを繰さんに報告しておいたから。ホワイトアップが二体つづくのは珍しい」

 「……」

 どこか楽観的にみえる九久津だが、現状把握能力に長けていた。




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