【第五章 マリオネットの憂鬱】 第173話 登校

寝起きソッコーで洗面所に行って鏡の前であっかんべーをする。

 すこし暗い……よく見えない。

 俺が照明のスイッチを押すと辺りはすぐに明るくなった。

 ……ん?

 俺は顔の角度をなんどか変えた、もちろんキメ角度である左斜め四十五度も試す。

 よし、眼は大丈夫そうだ。

 ヤバっ?!

 昨日の夜もスマホをやりすぎた……かも……しれない。

 ワンシーズンの新曲が近々リリースされるらしく、俺はそのWeb記事を読み込んでしまった。

 リンクを辿って、つぎの気になる記事をリンクし、さらにそのさきのリンクをジャンプするという無限ループを繰り返し、しまいにはアイドルとはまったく無関係の神話系サイトで約一時間を費やした。

 どんなキーワードでそこに辿り着いたのかはまったく不明だ、同じようにリンクをタップしてそのWebに行けと言われても絶対無理な自信がある。

 六角市の出身のミアって娘は、今回初めて新曲選抜になったらしい。

 しかも最近ワンシーズンに入ったわけじゃなく、いっちばん最初、そう初期も初期のメンバーということをネットで知った。

 俺がうといだけなのか六角市にいてもそんな噂は聞いたことがなかった、いや、俺はこれでもそこそこエンタメには強い、ってことは言いにくいけど、あまり優遇されてないメンバーってことなのかもしれない。

 そんなこんなで昨日はついついスマホを見過ぎた、あんま目を使いすぎたから只野先生に怒られるかも………でも目薬はきちんと差してる、いやあの目薬は疲れ目とかそういうのに効果はないけど。

 血の涙については寝る前の点眼薬が効いてるのか効いてないのかは、そのときにならないとわからない。

 赤の涙が流れたらまだ治ってないことだ、まあ、只野先生が診察てくれたんだから問題ないはずだ。

 今日は、すこし早めに登校して昨日のことを校長に直接知らせないと。

 結局、なんだかんだしてて言いそびれた、いや本当はそれほど大袈裟な魔障じゃないから言わなかった。

 と言うより内心ホッとしてその余韻に浸ってしまった。

 ”便りがないのは、良い知らせ”って言葉もあるくらいだし。

 俺はあのあと処方箋しょほうせんと引き換えに目薬を受け取り、Y-LABに向かって社さんと合流した、そしてY-LAB入口前のバス停で解散。

  六角駅に着いてからは、家に帰るため四校前行きのバスに乗った。

  Y-LAB入口前のバス停でエネミーがこともあろうに、みんなでパフェを食べたいと言いだした。

 しかも六角駅前にある人気スイーツパーラーを指定してだ。

  なぜ、パフェなのか?

 それはただ単にエネミーがパフェきだから、って社さんも好きだって言ってたし、寄白さんも好きらしい……結局、女子ってみんなパフェ好きじゃん!!

 俺はまあ嫌いではないが――キャハ!!ってなるほど好きではない……さらにエネミーがだした条件はもっと厳しくて全員集合でパフェを食べることだった。

 全員とは俺と寄白さん、それに社さんとエネミーそして九久津の同学年五人だ。

 これは完全なリア充高校生グループだな。

 エネミーと寄白さんはもう会ったことがあるから、エネミーが唯一、会ったことのない九久津に会いたいということらしい。

 これは完全に合コンという俺がまだ知らぬイベントに近い、いつかくるその日に備えておくのも悪くない。

 そのパフェ会はなにごともなければ、今日の放課後に六角駅前の繁華街で決行される。

 昨日の今日で……動くの早えーよって!!

 ただ全員なにもなければという条件つきだが。

 もちろん今日の放課後、外や四階にアヤカシがでればそっちを優先しなきゃならない。

 エネミーがあまりにダダをこねるから、俺と社さんとで一応そう計画した。

 残念だがきっと九久津はこないと思う、単純にもうすこし時間がかかりそうな気がするって俺のただの勘。

 只野先生の反応からも九久津の怪我がどうのこうのと言うわけじゃない。

 すぐに連絡ができる状態なら、俺に連絡のひとつやふたつしてくる、それが九久津ってやつだ。

 それがないのは、いまも病院でバシリスクについての聴取がつづいてるんだと思う。

 上級アヤカシとのタイマンだ、それくらいのことはあるだろう。

 社さんも俺と同じ意見だった、けど社さんは九久津の話題になると途端に口数が減る、半年前の怪我が関係してるのかもしれない、けどやっぱそこは深く訊けない。

 とりあえずいまから登校して、そのかんバス停でバスを待ってるあいだに九久津にメールしておこう……俺らもたまには息抜きしてもいいよな、なんだかんだ華の高校生だし。

 その前に今日の授業を頑張らなければならない……一時間目はなんだっけ?

 俺はもう一回、目の状態を確認してから部屋に戻って時間割を見た。

 あっ、理科か、理科ならまだいいほうだ、一時間目に体育のマラソン練習がきたときは地獄だ、なんで一時間目に五キロも走らなきゃならないのかって疑問も湧く。

 仮に走るにしても五、六時間目にするという優しさはないのか文科省。

 文科省がすべて決めてるわけじゃねーか。

 さあ、俺もそろそろ制服に着替えて学校行くか。




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